「慢性腎臓病（CKD：chronic kidney disease）」

（当院は「千葉県医師会CKD対策協力医」に登録されております）

以前は「慢性腎不全」と言われていましたが、近年は「慢性腎臓病（CKD：chronic kidney disease）」と言われております。
腎臓の機能は採血で簡単に測定することができ、「eGFR」というもので表されます。現在日本全国の患者数は1300万人以上といわれ、新たな国民病と認識されつつあります。

CKDの診断について

CKDの定義は

1. 尿検査、血液検査、画像診断などで腎障害が明らかである（特にたんぱく尿が出ている）
2. 糸球体濾過量（GFR）が60ml/分/1.73㎡未満である

上記1.2が3か月以上持続する場合、CKDと診断いたします。

CKDの原因

2大原因が「糖尿病」と「高血圧」です。

肥満、脂質異常症、高尿酸血症、喫煙などの生活習慣病も悪化を促進します。
またたんぱく尿や血尿が出現する各種「糸球体腎炎」、全身疾患に伴う腎障害などもCKDの原因です。腎臓は各種薬剤の代謝を行う臓器でもあります。「薬剤性」もCKDの原因になります。

CKDの症状について

「沈黙の臓器」と言われ、進行するまで症状は出現しません。
症状が出現するころには透析が必要になってしまう場合があります。そのため健診等で、腎機能の異常やたんぱく尿が指摘されましたら、症状がなくても治療を開始する必要があります。
晩期の症状は、意識障害、呼吸困難、全身がむくむ、貧血、動悸などがあります。

CKDの検査について

採血、尿検査で簡単にスクリーニングできます。
精密検査などが必要な場合、近隣の総合病院にご紹介させていただきます。

当院のCKDの治療について

残念ながら慢性腎臓病（CKD）に対する特効薬はまだありません。

しかし、腎機能の低下を緩徐にする方法はあります。
血圧や血糖、脂質、尿酸などをコントロール、貧血の是正、球形吸着炭の使用、腎機能に影響する薬剤の見直しなどを行い可能な限り腎機能低下速度を抑制いたします。

我が国では約34万人の患者様が人工透析（血液透析や腹膜透析）を受けています。
透析導入に至るCKDの大きな原因は、高血圧による腎硬化症、糖尿病性腎臓病です。

したがって、高血圧、糖尿病、慢性腎臓病の3つを同時にコントロール治療しながら腎機能増悪の進行を遅らせ、透析導入を先延ばしにすることが何より肝要です。

予防・管理について

当院では腎臓専門医、高血圧専門医の立場から総合的に慢性腎臓病の予防・管理を行っております。（透析はおこなっておりません）
また蛋白尿、血尿等が腎炎の初期の可能性もあり、これらも慢性腎臓病の予備軍です。
健康診断等で蛋白尿、血尿が指摘されましたら一度ご相談ください。

だるさや脱力等の原因が電解質（ナトリウム、カリウム、カルシウム等）の異常の可能性もあり、電解質異常は採血で診断できます。

また、腎臓は、薬の代謝・排泄を行う器官でもあります。
現在内服されている薬の量や飲み方が腎臓に負担をかけていないかどうかご心配の方はご相談ください